このレビューはネタバレを含みます▼
3年ほど前に単行本を購入して1度読み、それからふと思い出しては流し読みしていたのですが、今日久々に最初から最後まで通して読みました。初めて読んだ時、もちろん凄い衝撃を受けたのですが、私のポンコツ頭が覚えていたのはその衝撃とおおまかなストーリーだけだったらしく、久々の薫りの継承は、よりいっそう甘く美しく、そして考えさせられる内容でした。というのも、以前読んだ時よりも私自身が少し成長し、当時気づけなかったことに今回新しく触れたことが原因なのですが…笑 やはり、兄の感情を最初から知っているのと知らないとでは 読んだ時の印象はかなり違っていて、濡れ場のシーンなんかは歓喜と焦燥の入り交じり感が絶妙でたまんないなあ…と改めて思いました。継承とは、「ひきつづいて、うけつぐこと」。薫りの継承…誰から誰に、何のために、薫りを継承したのか…考えるだけで胸がいっぱいになります。
愛が禁断であったからこそ、彼らは薫りを継承しなければならなかった。そしてそのお陰で、あれだけの背徳感が生み出され、私たち読者はそれにまんまと魅了された。私はハピエンが大好きなんですが、どうしてもハピエンだけじゃ語りきれない愛があるもので(しかもまたそれが美しい)、神様は残酷だなと思います…(泣) 良くも悪くも、兄さんが竹蔵への愛を1番に出来なかったことが妙にリアルだな、と。
私の中のハピエン厨が欲を言えば、兄さんには自分を許して欲しかったし、許してくれる世界であって欲しかったです。でもそうすると背徳感は失われ、ここまでの名作は生み出されなかった…やっぱり残酷だ…。そしてこれだから禁断愛はやめられない…。
そして!要くん!なんで数年前の私はこの子をあまり気に留めてなかったんだっていうくらい、ヤバい子ですよね…。思いっきり巻き込まれちゃって、より禁断に拍車がかかってますね…。
でも、忍さんが許される世界があってもいいと、やっぱり私はおもいます。
あと言い忘れてたんですが、中村明日美子先生の描く人物が1番好きです。