Gimme, Heaven
」のレビュー

Gimme, Heaven

モガ子

浄化と希望に溢れた作品!

ネタバレ
2022年6月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ BLに限らず小説やドラマなど、解離性同一性障害をテーマにした作品はよく手に取って見ています。この作品もレビューを見て購入しました。
まず驚いたのが、5つの人格を、表情や言葉遣いからその人格の性格まで描きだすスキルの高さですね!今誰が出ていて、その人がどんな人なのか、一瞬で読者が分かるようにされています。また、その人格がどのようなタイミングで出てきて、人格同士がどのように繋がっているのか、心の内をも描き出し、それぞれの繋がりをも明確にしています。トラウマの原因は、この障害の多くがそうだと言われているもので予想はできましたが、主人格の海里と海里を守ろうとする碧海の関係性が色濃く描かれていて、よくできているなぁと惚れ惚れしましたね。初コミックスだということですが、ここまでクオリティを高くしてもってくる作者の技量に驚きました。
敢えて言うとしたら、別人格の翔海・海沙・海音が何故生まれたのか、あの後この3人はどうなったのか、というのが気になるところ。また、雅己は付き合う前にこの障害のことを知りつつ、「自分の気持ちは変わらない」と伝えていきますが、簡単に口にできる言葉ではないのではとも思いました。この障害は自己防衛に起因している場合が多いので、トラウマを抱えていることが予想されます。そのトラウマを理解した上で受け止めないと主人格が壊れてしまう可能性だってあります。雅己の想いは一途で良いのですが、前半の、身体を繋げようとするところは少し性急だったのではとも思いました。
とはいえ、大好きな人と思う存分繋がれて、幸せそうな二人にこちらも胸いっぱいになりました。子ども達がトラウマを抱えるような悲しい出来事が起こることなく、無条件に愛される存在でありますように…。
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