俺の春
」のレビュー

俺の春

木村ヒデサト

二人が行き着いた先は

ネタバレ
2022年6月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「鬼は笑うか」で心を射抜かれた作者さん。
こちらは27ページの短編ですが、また物凄いものを繰り出してきました。流れるように展開していく無駄のないストーリーで、ラストまであっという間に引っ張られていきました。

狂った因習が根深く残る村で、二人が生きる道はこれしかなかったんだろう。
たった一つのものを守るために、やるべきことをやり遂げた栄太には拍手を送りたくなった。
生き延びた証がくっきり残る春嗣の体を描いた一コマが一番心に刺さった。春嗣もまた栄太のために筆舌に尽くしがたい思いに耐えてきた。
逃れられない歪な世界からの解放。読後胸がすく思いがすると共に、こうせねばならない程追い込まれた栄太に悲哀を感じた。
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