このレビューはネタバレを含みます▼
幼い頃に両親を亡くし田舎で一人暮らす佐喜眞京は、ある日庭に転がるピンクの髪をした男を保護します。京を見ていきなり喰わせてくれと言って来た男は、自分は鬼で人間の精を喰わないと死んでしまうのだと訴えます。もちろん京はお断りするのですが、鬼を怖がらない京のところにおいてくれて必死に頼む姿に絆されて、しばらくということで同居を承諾するのでした。その髪の色のように明るくて人懐っこい鬼との暮らしは思いの外楽しくて、ずっと一人暮らしだった京は、いつの間にか鬼のことを心配したりと情が移ってきます。それでも鬼に食事を与えないのは幼い頃のトラウマがあったからなのでした。鬼パワーでトラウマを突破した夜、鬼は蓮という名前を教えてくれます。ふわっとして明るく幼いところのある蓮と真面目で素直な京との恋は、京の幼馴染で寺の息子の啓介や蓮の育ての親のシノシシらを交えて、鬼と人との違いや辛い過去を越えて成就してゆきます。京と啓介の幼い頃の体験や、シノシシの昔の思い出などが効果的に配されて物語に奥行きを与えています。