地を這う者に翼はいらぬ【電子単行本】
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地を這う者に翼はいらぬ【電子単行本】

鳶田瀬ケビン

アメリカの監獄が舞台のガチムチパラダイス

ネタバレ
2022年6月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 新しく赴任してきた看守のリアムは、看守から暴行を受けていた囚人が、かつて自分を助けてくれた警察官のベルナルドであることに気付き驚きます。リアムが父親の暴行から母親と妹を守ろうと父親を殴った時、自責の念に駆られるリアムのことを優しく受け止めてくれたのがベルナルドだったのです。殺人を犯したというベルナルドは冤罪を主張しており、弁護士との接見時に息子の危篤を知らされます。ベルナルドが気になるリアムは息子の病院を訪ねるのですが、息子はリアムの前で息を引き取るのでした。それを伝えたことから二人の距離が縮まります。元恋人の自 殺を止めることが出来ず、それがきっかけで家族と離れることとなったベルナルドは、監獄の中で耐えることで自らを罰していたのでした。リアムもまた、家族に避けられた挙句に亡くしたことから、孤独な二人の魂が寄り添ってゆきます。作者さまらしいガタイの良いイケメン達が織りなすストーリーはしっかりとしていて読み応えがあります。刑務所内での息詰まるような閉塞感がじっくりと描かれ、そこから満を持して迎えるラストの開放感は『ショーシャンクの空に』へのオマージュを感じさせる佳作です。
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