このレビューはネタバレを含みます▼
BLジャンルじゃなかったら良かったのにと思います。凪子の行為が身勝手に見えてしまい、最後に浩平と和也がくっついてもスッキリしません。2人の過去話として取り扱うにも、凪子(の死)がメインにきてしまうので、諸手を挙げてハッピーエンドとは思えず。凪子から和也に宛てた手紙も、渡されるタイミングや書き方が傲慢な印象です。『2年も経てば少しは前を向けてはいませんか』(特にこの言い回しが嫌だ)、『浩平くんはきっと、ずっとカズちゃんを支えてくれていたよね』、『もしも少しでもわたしの事を想っていてくれるのなら、憐れんでいてくれるのであれば どうかわたしの罪を軽くしてください』、『幸せになって下さい』と言うような内容なのですが、もういっそ知ってる事を黙っててくれた方がよかったような気もします。これがないと2人は前に進めなかったって事なのでしょうが。それか、和也の気持ちを凪子が知らないか、好きな子を亡くした和也を浩平が支える中で気持ちが芽生えるとかか、くっつかないか、凪子が主人公で描き切るか、凪子の心情は推し量るしかない描かれ方か。など、他の展開であれば、ここまで複雑な気持ちにはならなかったのかなと思います。いや、複雑な心境になる作品は作品で良作かもしれません。ですが、繰り返しになりますが、BLジャンル
でなければ心構えが違ったのかなと思います。別に、漫画だからといってキャラに清廉潔白さを求めないし、凪子の狡さもすごくよく分かります。自分も同じような事があったら、自分を優先してしまうかもしれません。だって、自分は死んでしまうんですから。その先残される2人の未来とかまで、思いやれなくなってる可能性はあります。凪子の感情や行動が生々しいから、受け入れ難いのかもしれません。
ただ、モヤモヤしただけでなく、胸が苦しくなる切ない場面もありました。それは、凪子がある写真を見つけて、過去のエピソードから凪子が和也の本心を知ってしまった時です。和也を思って胸が苦しくなりました。
お話としては、人間の狡さなどを隠さずに描いてくださっているので、ジャンルに捉われず、人間ドラマとして読めばありなのかなーと思います。自分は読み返す事はできませんが、複雑な心境に陥ったり、胸糞に感じたりするのを覚悟の上で、一読はありかもとは思います。評価は迷いましたが、手紙の文面がどうしてもどうしても受け入れられないので、星2つにしました。