洒涙雨
」のレビュー

洒涙雨

ホコ

繰り返し読み続けていきたい作品

2022年7月7日
七夕なので読み返してみました。(洒涙雨=催涙雨)
短編集です。一読だと解りづらいかもですが、どのお話にも深い情緒があります。
表題作は「落日」「洒涙雨」「春の嵐」の3話で成っています。
描いてあるのはほとんど、事実の羅列と自分を曝け出せない会話とほんの少しの本音です。
なのに、各話の最後の心情が手にとるように解ってしまう。
別れても出会っても切ない、大人が直球で踏み込めない弱さが胸に刺さるお話でした。
表題作以外もじわじわとやるせない気持ちが高まる良作です。
その中では「ランドリーム」が一番解りやすく胸に届くお話だと思います。
絵が一冊の中でかなり変化しています。カケアミが多様されていて、昔の漫画を彷彿させますね〜。描き込みスゴイです。
あと、脇の人物が個性的だったり大事な役割を担っていたりして、ドラマとして面白いと思いました。
今作は読むたびに気付きがあり、印象が変わる作品だと思います。
年に一度、七夕を機に再読を繰り返し深く読み続けていきたいと思いました。
この一冊しか出されていないのが残念です。
いいねしたユーザ15人
レビューをシェアしよう!