スモークブルーの雨のち晴れ
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スモークブルーの雨のち晴れ

波真田かもめ

立ち止まりたくなった時に誰が側にいる?

2022年7月7日
既刊がいっぱいでなかなか手が出ず、波真田先生の作品こちらが初読みです。表紙の黒髪長髪キャラに一目惚れして購入を決めました。元MRの久慈×吾妻のお話で、表題作のみ全5話+描き下ろしで合計189ページ。元同僚でライバルだった久慈と吾妻の二人。共に会社を辞めてしばらくした後、ゲイバーで危ない目に遭いかけていた吾妻を助けたのは元同僚の久慈で、その後在宅で翻訳の仕事をする久慈の手伝いをすることになって…。8年振りに再会したばかりとは思えないくらいピッタリ息の合った塾年カップルのような雰囲気の二人。タバコが似合うそんなに若くない二人が、ゆっくり同じ時間を共有していく、そんな空気感がすごい良かった!吾妻が人の懐に入ってくるのとても上手なんですよね。自分も傷付いていたはずなのに、固くなった久慈の心を内側から溶かしていってます。誰しも常に全力疾走するのはできなくて、息切れしたり立ち止まりたくなったりした時に誰かが側にいてくれると、やっぱり違うもの。同僚時代からそうだったかもしれないですが、年月を開けて歳を重ねて再会したことで、より寄り添えるようになっているのかもしれないなぁと。作者さんがLOVEのLだけでなくて〜と書かれていましたが、まさしくLIFEやLIKEについても考えさせられる作品でした。あとは、やっぱり久慈のビジュアルが最高すぎました。髪をかきあげたり、吾妻に掛かる髪が色っぽくて悶えてます。家や背景の描き込みも素晴らしいし、仕事内容もとても良くリサーチされているのが分かりました。願わくばすぐに続刊が出ますように!
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