このレビューはネタバレを含みます▼
謎めいた美しい魔術師シルヴァンと助手のティムとの恋を中心に描かれるファンタジー。隣国の奴隷だったティムが隣国から逃れ、シルヴァンに助けられて恋に落ちるところから始まります。店を手伝うようになったティムは、一晩だけ誰よりも美しく見えるという薬をこっそりと使ってシルヴァンのもとを訪ねます。ガタイの良いティムの、身体に似つかわぬ幼さがいじらしいお話からスタートします。優秀な部下エーリクに恋をし、せめて椅子になって触れたいと願う高利貸しのヨハンのお話は、真面目な二人がその真面目さ故に変態な方向に迷走してしまう様が楽しいです。物語全体を通じて、魔術師という孤独な存在であるシルヴァンと、奴隷であったにも関わらず生来の美しい心を損なっていないティムとの幸せな様子に癒されます。普段は蜘蛛猫姿のシルヴァンのお父さんが、作者様ならではのイケオジ姿を最後にちらりと見せてくれます。表紙裏ではさらに、シルヴァンが見事な肢体を披露してくれます。