繊細さんを好きになる
」のレビュー

繊細さんを好きになる

猿和香ちみ

主人公の心理描写がとても丁寧

ネタバレ
2022年7月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 吃音の主人公のお話「いっそ声がなかったら」が好きだったので、HSPの主人公はどんなふうに恋をするのかなと興味を惹かれて読んでみました。
作者さんはよく下調べされていて、毎回テーマに真摯に向き合ってストーリーを作られているなと思います。登場人物に寄り添う視点が優しくて好きです。
今作は古風な手紙のやり取りが素敵でした。
今時こんな手紙もらったらハッとするし、細かい気遣いのできる人なんだろうなぁと好感を持つのもわかる。
実際の千代は予想外の人だったけど、親しくなってからも手紙を続けるところが良かった。洋も相手の反応を気にすることなく、落ち着いて伸び伸びやり取りできるんだろうし、それがわかってて手紙を続ける千代がにくい。
千代は大らかだけど決して無神経ではなくて、洋の気質をわかろうとしてちゃんと気に掛けてくれるところがいい。千代の一言が、洋に響いたのにウルっとしました。
気質が全然違っても、相手を思えばちゃんと分かり合える、新しい自分を夢見て踏み出すこともできるっていうのが伝わってきて、とても優しく清々しい気持ちになりました。
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