すごくいい。自己肯定への道。涙も爽やか。





同質でいることを望み、違うことに目ざとく容赦なく、異質を嫌悪し遠ざかるか攻撃を仕掛けて来る、人間の習性というのを見せつけられる。それは自分の価値観に固執して多様性を受け入れていない本音。広い世界には自分の常識が通用しないこともあることを、しっぽと異民族とに転嫁して物語が展開する。
その狭い了見を脱すると、そこには幸福があった。
言葉多すぎず、時間をかけて、自分の中のこだわりを解いていく描写が、一切堅苦しさの無い日常のエピソード内に吸収された形。
子どもにはさぞや残酷であったろうと思われる差別意識、人間の醜悪さが表れていて問題意識を刺激される。現代社会に積み上がったヒエラルキーにも一矢。
その一方で、どう考えたら弾かれた者も含めた皆がハッピーなのかも、立場の転換、発想の転換といったようなきっかけに触れる機会ともなっている。
強く個性的とも言いきれないのに、感性にじわり訴えかけてくるような、目をひく絵がストーリーをがっちりと、ベース固めしている。
ペンタッチというのか、輪郭それぞれに味のある幅があって、絵だけのコマにもいい余白や経過や当事者と無関係にそこにある外の景色や、孤独感空虚感距離感その他いろいろ出ていて、佐原先生の画風がこの漫画の魅力の何割かになっている。
全4巻で全て表題作。計680頁(180+172+164+164)。

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のこ さん
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