君と生きられるなら死んでもいい【単行本版】
」のレビュー

君と生きられるなら死んでもいい【単行本版】

赤いシラフ

転生ものとして話の構成がお見事

ネタバレ
2022年8月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 転生とかタイムリープとかのSF設定が好きで、見つけると即ポチしてしまいます。
名作も多い中、設定が特殊な分複雑になり過ぎたり、いまいち設定が活かし切れてないなぁと思う事もあるんですが、こちらの作品はとてもわかりやすい上、ストーリーが非常によく練られていて良かったです。
何となく先は読めましたが、作者さんの独自性とこの世界への熱量が感じられて、最後まで面白く読めました。
出だしがなかなかにドラマチックで、畳み掛けるような怒涛の展開にワクワク。何度出会っても愛し合う、崩れない強固な絆を感じられたのも良かったです。

ただ、この長い苦しみの物語を一冊に収めたせいか、1000年の重みまでは感じられなかったかなぁ。
壮大な設定に感嘆しただけにそこだけちょっと残念。
1000年もの間抜け出せず、何度繰り返してもダメだったのに、今世で割とあっさり解決してしまったなぁという気もしたし。
上下巻くらいにして、もっと過去の英心の葛藤や焦燥、気が狂うほどのループが描かれていたら、更にずっしり胸にきたかもと思いました。
しかし、祝の光を感じる明るさには救われたし、英心の祝が好き過ぎるゆえの描写は面白くて良かったです。
転生ものとして破綻なく、見事にまとめ上げたのもすごいと思いました。
いいねしたユーザ10人
レビューをシェアしよう!