このレビューはネタバレを含みます▼
試し読みで陸上選手の大学生田中が、奇病にかかって親友の文化部黒髪大学生高橋に前立腺マッサージを頼むというとんでも設定と、それを本気で拒んでいる高橋の表情に、面白そう…と手にしてみたら、これが予想以上に良かったのです。
こういうシチュエーション物は、そこで設定されている特異な条件を前提にして、登場人物が見せる感情に共感できるかで、その設定に乗れるか冷めるかが決まると思っています。今回良かったのは、2人のうちどちらかが実は前から好きだった、とかではなく、そんな気がさらさらない親友同士って関係の中、頼まれた高橋目線で展開するため、無理なく戸惑う気持ちに共感でき、このBLが成立しそうもない2人でBLになるの?どうやって?と興味をそそられながら読み始めることができるところにあると思います。
登場人物も、2人以外は、前立腺マッサージを教えるプロのあやさんと病院の先生の2人(これが強烈なサブキャラです)と絞られていて、2人の心情が変化していく様が親友になった過去話や笑いを織り込みながら丁寧に感情移入しやすく描かれます。
自分には、特に黒髪攻めになる高橋が、最初、治療への協力を拒んだ理由、そこから転じた理由、その後、気持ちの変化に葛藤する理由が全て一つの共通した理由にあるところに、共感できて、そのピュアさにキュンときました。
そして、普段死んだ魚の目をしている高橋が、恋をしたときの表情が…。エモくて思わず机をバンバンしちゃいました!共感して読んでいた分、その気持ちが伝染しちゃって…。普段、スンとした攻めがデレるのが好物な方、おススメです(ツンデレ攻めかな)。
8/4までのセール中に購入☆表紙だけだと、敬遠されてしまうかしれない(汗)と思っているうちに、つい長文に。設定はアレなものの、主役2人がピュアな良い子で、シンプルにその心情の変化を追っていけるのが心地よく、つい繰り返して読んでしまう作品になりました。