雨雫
」のレビュー

雨雫

碗島子

霧雨のようにうっすらまとわりつく不気味さ

2022年8月4日
198ページ。
表題作4話+ご先祖編2話+一応キャラつながりの読切1話。
雨守を泣かせると雨が降る……そんな村の伝承に縛られた、どことなく気味の悪さがある話。雨の湿気がイヤな感じを盛り上げます。伝承がただの伝承でなく、本当に雨が降るのでファンタジー分類ですかね。
二人の関係に否応なく重なる「お役目」としての立場、泣かせるための嗜虐的なエロ、良かったです。
雨守も雨守番も、間違いなく「村の利益のための犠牲」であって、それに笑顔で我が子を差し出す母親達には、うすら寒さを感じます。サダコの「自分の子供を〜」という旨の発言も、子供の無邪気な発言だからこそ怖い……。村のため、という大義の前に思考停止している感じがして、田舎の伝承ホラー味が。女の子3人でおはじきをしながら、雨の降り方とサダオの気持ちを笑顔で話しているシーンが妙に不気味で、良かったです。
ご先祖編は、伝承の始まりの話。身分違いの幼馴染、この二人は幸せだろうし、悪いわけではないけれど、結果的にとんでもない置き土産を子孫に残したな……。
『いっしょにあそぼ?』は、一応サダオとサダコは出てきますが、話はつながっていません。描かれた時期もだいぶ離れており、正直、どうしてつなげてしまったのか、という気持ち。DKもの。

どことなく「好き」が足りずに星4つ。
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