牧神の午後
」のレビュー

牧神の午後

山岸凉子

山岸先生ならではの霊感を感じる

2022年8月5日
天才ダンサーではなく”舞踊の神”と言われるニジンスキー
実際はどんな踊りだったのか、普段はどんな表情をみせたのか・・・わたしは写真を見ても想像がつかない。
そんな彼の生きた姿を、山岸先生の霊感が甦らせたと思える作品。

舞台でみせる輝きと、生身のもつ苦悩や機能不全とを、表と裏のように乖離させず、違和感なくニジンスキーというひとりの人間がもつ個性として読ませるのは見事。

常人離れした感性、繊細な神経、得られない母親の愛情
なんだか「日出処の天子」の厩戸とダブってきて、切なく悲しい。

心に残って、なんども繰り返し読んでいる作品です。
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