Gimme, Heaven
」のレビュー

Gimme, Heaven

モガ子

難しい題材なのに解りやすかった!

ネタバレ
2022年8月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 乖離性同一性障害(多重人格)のお話をBLで読むのは2作目です。(あの有名な、みちのくアタミ先生のと)。
読む前は他レビュアーさま同様、複数人格とのエッチが有るのか?と期待してしまってました。ゴメンナサイ。
もっと真面目で真摯でシリアスで悲しい、でも幸せなお話でした。
障害を相対する側からだけ描くのではなく、発症原因や障害者自身の複雑な内面までもが、とても解りやすく描かれています。
基本人格の海里は、よく言えば優しげ、悪く言えば主体性の無い人物です。
それは感情の大きい部分を交代人格に任せて自分はまとめ役、というか橋渡し役ぐらいのポジションで生きているからだと感じました。
今作は障害を治癒し人格を統合するのではなく、海里自身が自分らしさを取り戻すお話だと思います。
それがよりリアルに感じて、物語を正面からマジメに受け止めたいと思いながら読み進めました。
一方、ソムリエでバイの雅己ですが、すっごく人間ができています。しかもイケメン。
多重人格者に対する気配りや思いやりが、精神科医か!?と思うほどです。
まさに“サービス業舐めんなって!”です。
そして海里の交代人格の皆さんがとってもいい味を出しています。
一人として暴力的や陰湿や自己不信の人がいません。
元々の海里がどれだけいい人だったかがよくわかります。
そんな2人が惹かれあい幸せなえっちに至るまでを、難しい障害を軸にして、よくぞ一冊で描き切られたなぁ〜と思います。(完結の文字が無いのでこの後の続きが読めるのでしょうか?だといいな♪)
どうしても説明的なコマやページが必要なところに挟まるのですが、ストーリー的に著しくテンポを乱された感はありませんでした。
なので終盤の幸せエッチを幸せな気持ちで堪能できました。
修正は、スペシャル仕様ですのでご期待下さい。
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