あの子の子ども
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あの子の子ども

蒼井まもる

もっと早くこういう作品に出会いたかった

2022年8月8日
中高生で妊娠する子の割合は少ないかもしれないけれど、大学生以降になれば同じような経験をした人の数はずっと多くなるのではないでしょうか。
20代以降、身近な女友達たちがこういった問題に向き合うのを何度も見て来ました。

もっと早く、こういう作品が、もっと沢山あって欲しかった。
あの頃の私たちにもこの作品があればどんなによかっただろうと思います。

そして、どうしていつもいつも女の子だけが向き合わねばならないのかとも思います。
こういった作品が、少年誌・青年誌でも掲載される時代が来ることを願います。

現実にこんな男子高校生はいない、そうかもしれません。
でもなぜいないのか、それはこういう作品が存在しないからではないでしょうか。

1話読むごとに辛くて手をおきました。それは、漫画よりもはるかに現実の方が辛い事を知っているからです。
宝のような彼は現実にいないかもしれない、けど福ちゃんのような女の子は何人もいる。

この問題がやっとテーマになりうる時代が来たことに希望を託したいです。

エンターテインメントとして性愛が描かれがちな漫画界において、その先の現実を描くことは一種出版する側の責任でもあると思います。十代の子達にただ恋愛や性愛へのあこがれを提示するだけでなくその先を描く事。これからの漫画界に求められるテーマだと思います。
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