全員に読んでほしい。女性だけじゃなく、男性にも。高校生やその親だけじゃなく、小中学生も、高齢者も、親になるつもりのない人も、行為をするつもりのない人も、トランスジェンダーも、同性が好きな人も、閉経した人も、行為が嫌いな人も、行為ができない人も、パートナーがいない人も、皆読んでほしい。
なぜかというと、行為やそれと結びついている妊娠、出産というものは、「知っていること」と「共有していること」が非常に重要だからだ。
前者は正しい知識と医療にアクセスする方法の調べ方を事前に学んでおくことを指す。避妊器具の付け方、妊娠期間の計算方法、緊急相談先の調べ方、産婦人科の予約方法を知っていると、自分の人生を自分で設計できる。前もって知っていることが最善だが、知らずとも福と宝がとにかくたくさん調べたことで得られた情報は、2人とその子どもの人生を支える固い地盤となっていた。日本は義務教育での性教育を早急に進める必要があるが、個人でも自らインプット量を増やす必要はあると思う。この漫画は巻末のおまけペーンを含め、その手助けをしてくれる。
後者はパートナー、親、主治医などと不安や意思、情報、選択を共有していることを指す。
はじめ福は独りで不安を抱えていたが、それを宝が感じ取って積極的に受け止めていたのには感動した。漫画では宝に頼もしい印象があったが、現実ではもちろんその逆もあって然りだ。他にも育児支援センターへの相談や医療カウンセリングも、不安の共有に入る。
つぎに、作中で描かれたなかで意思の共有については、2人が行為と妊娠を「自分たちで決めて行った行為であり、両方に責任がある」と明言していたことが印象深い。双方の同意の上での「予期せぬ妊娠」は男性側に非があるとされることが多い。しかし福と宝が責任を押し付けたり事実から逃れたりせずに、どちらも等しく責任を認識していたところに2人の覚悟がみえた。「命に誠実でいる」とは、こういう人たちのことをいうのだろう。
そして、情報の共有という点では妊娠発覚後、福と宝で出産の意思や費用、支援制度について話し合っているところが素晴らしいと感じた。福が主治医に普段の生活の過ごし方を質問しているのも立派だ。
選択の共有については、二家族での話し合いのシーンをぜひ読んでほしい。