めぐまれない大人達
」のレビュー

めぐまれない大人達

宮沢草雨

深掘り不足に加えて、相性良くなかった

ネタバレ
2022年8月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 238ページ。
目次を見て、短編集かなと思って買いましたが、ほぼ丸一冊同一シリーズ作品でした。最後の1作だけ読み切り。
時系列バラバラで進んでいきますが、最初にガッチリ決めてから埋めていくように描いたのではなく、描きながらキャラクターや設定が決まっていったようなところがあり、少しブレがあると思います。
作者さんの溜め込んだ好きなものを吐き出している感はありますが、消化不足な気がします。サブカル系として見るには弱い。あと、作者さんが好きなものが自分の好きなものとズレてた。
おまけ的描き下ろし『プロジェクトM』(主人公の三路とその友達マルちゃんの漫才的コメディー)が一番面白かったです。

同録の『海辺にて物思ふ』(17ページ)は、2030年が舞台の、「作品発表当時のBL主役カップルの老後」を描いたもの。ほぼ頭身の小さいデフォルメ絵です。Oちゃんの性格がイラついちゃってダメでした。40年も連れ添ってて「ノンケから転ばされた」って責任を相手に押し付けるとか、あれだけ愛されてるとわかったのに「幸せだ」じゃなくて「皆なんとか生きてる」とか、そりゃないよ……。ちょっと変わった描いてみたかったものをそのまま描いてみた、という印象で、深掘り不足。
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