このレビューはネタバレを含みます▼
ヤクザの幹部とピアニストでケーキ屋さんの再生と純愛物語になるのでしょうか。
初読なので、まだきちんと咀嚼できていないかも知れませんが、事の展開が一体どんなエンディングになるのか予想がつかず一気読みしてしまいました。
タイトルの「願い」というのが、深見を中心に、裕介、工藤、有島の親父、皆がただ1人に想いを捧げ願っていたんだと思うと深い。
深見の異常に男を毛嫌いする怒りの真意を理解すると、行為の後の彼の行動にも頷ける。
必死に抗い抵抗しながらも、己の最も嫌悪するものを欲してしまう苦しみ。
裏表のない裕介のピアノの音には、深見が今まで生きてきた世界になかった音色だったのでしょうか。
重苦しさをシュールなギャグで拾い上げられ、
憎いと思った有島の親父さんでさえも、最後は深見を想う極道らしい潔さを感じました。
独特な作風ですが、深みのある物語がとても面白かったです。