このレビューはネタバレを含みます▼
「いじらしいさま」と出てきますね。「いたいけ」ってそこに「痛ましいほど」、と上乗せされてる気がする。
評価の低さに?となりましたが、私は満点付けます。
短編集です。
①「夜が永けりゃ永いほどお天道様はでかいんだ」
読み終えて何とも辛くなってタイトルを読み返し、「お天道様」を信じたくなりました。
本来blだったらこの物語の先から始まる筈なんです。0地点で終わらせる心憎さ。
ゲイの後輩を側から見ていただけの先輩視点の話です。
秀悦なのが経理の女の子の優しげな欺瞞と、先輩が自らの偏見、無知な残酷さに気がつくところ。
主人公のグラフィックデザイナーが本当に会社を立ち上げ、会社を辞めて実家に帰った後輩を呼び戻す未来に1票入れたい。
②「悩んで学んで」
幼なじみのことが好きな17歳男子のモノローグ。自分の身体と心の変化を持て余しながら、妹の成長と父の居心地の悪さを対比させる。このモノローグはもう小説。
③「まひるの星」
デザイン学校の同級生に片思い中の男子。絆され系というか、もうこんな身勝手な男に振り回されちゃうこの子が不憫で!
④「LOVE ME DO」
ガタイの良い陸上部の同級生は受け志望のホモだった。
切ないはずなのに、何故か彼なら幸せを見つけてるよね、そう信じられる後味。
⑤「いたいけざかり」
うん、いたいけだね、可愛いよね。どっちも。
ずっと思い違いの両片思いだったのね、わかりにくいけど、きっと彼らの未来は幸せになってるよね。
⑥「レイニーデイ・サービス」
作者様の頭の中で続いてる物語をちょっと切り取って見せた感じ。正直何言ってるのかわかりにくいです。
男2人で旅から旅の気ままな商売。その合間に出会う男の子。旅に出るまでの2人には、きっと色々あったんだろうな。
⑦「赤裸々RIDE ON ME」
これは可愛かった!男子校の高校生同士、周りの応援もあって、それぞれが男気を見せました。
最後の描き下ろしはクスっと笑えます。でも彼らにも描かれていないバックグラウンドがあるのよね、きっと。
単行本初版は2011年のようですが、1996年とか世紀末、という文字の踊り方に何となく納得。
古い、というより、ノスタルジック。
独特の読みにくさに、「描かれていない描きたかった部分」の先走りを感じます。