ベイカーベイカーパラドクス
」のレビュー

ベイカーベイカーパラドクス

暮田マキネ

複雑だけど、ハッピーエンドと思いたい

ネタバレ
2022年8月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ この作品を知ったきっかけはシーモア島で、「メリバだと思う名作」で紹介されていたことです。。元々メリバは苦手なんですけど、自分の感性よりも島やレビューの評価を信じているし、試し読みの感触も良かったので購入しましたが、その後悲しい事があってバッドやメリバが読めなくなり、何ヶ月も積んだままになっていた作品でした。大分気持ちも浮上して、いざ読んでみたら…悲しみというより感動の波に呑まれた感じです。確かにメリバというふれ込みだけあって、ラストは複雑です。そしてテーマが、とにかく深い。視界不良の水中を進むような独特の不安感や重みがあります。でも決して暗くはないと思います。多少は病んで…いるのかな。でも、2人をずっと見守り助けてくれた人達が味方になってくれ、認めてくれているのだから、2人の先行きは間違ってないと思いたいです。初作家さんでしたが、明暗の使い分けというか、テーマは重くしっかりとあるのに悲しくなりすぎない流れの持って行き方が、とてもお上手だと思いました。あとがきの先生の言葉や考え方からも人柄が伝わってきて、読んだ直後まぁまぁ重い気持ちで居たのに、吹き出して笑ってしまったくらいです。今作であまりに感動したので、先生の他作品もチェックして何作か購入を決めました。タイトルや小見出し、セリフなどにも隠れた意図がありそうで、読み返す楽しみもあるオススメの作品です。
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