このレビューはネタバレを含みます▼
55歳の和彦と65歳の真の淡々とした日常から始まります。既にリタイアした真と、定年まであと5年の和彦は未だに愛し合う仲の良さです。そんな二人の出逢いは、高3の和彦の家庭教師として近所に住む真がやって来たことからでした。18歳と28歳との10歳差は大きく、大人な真に興味を持った和彦は、成績が上がるごとに真のことを一つ教えてもらう約束を取り付けます。昔誰かにもらったサイン帳に真の情報を一つずつ書き込んでゆくのを楽しみに和彦は勉強を頑張ります。ところがそのサイン帳を見た和彦の母親が真に釘を刺し、真は和彦に不倫が原因で前の職場を辞めたこと、その相手は男性だったことを告げて家庭教師を辞めるのでした。初々しい高校生の告白から次の章では中年期に差し掛かった二人の入籍とプロポーズ、さらに年を経るとともに介護やお墓について話し合う二人の姿が描かれます。もちろんキラキラ感はありませんが、ちょっと拗らせ系の歳上の真をひたすらに愛する和彦の真っ直ぐさに心を打たれます。何十年も変わらずに相手を一心に想う究極の純愛物語です。