このレビューはネタバレを含みます▼
都会で働く橋屋綴は人に頼まれると断れないタイプで、体良く利用されてばかりで長続きする友人もいません。そんな綴の元に故郷の母の訃報が届きます。幼い頃に目の前で父親が事故死した一人っ子の綴が久しぶりに実家に帰ると、従兄弟だという青年が現れます。薄い目の色で整った顔をしたソラというその従兄弟に全く覚えの無かった綴ですが、ソラは母親をよく訪ねてくれており、葬儀の手伝いにも来てくれます。一度帰って遺品整理にまた来るという綴にソラは「大丈夫、絶対に綴を一人にはしない」と言うのでした。東京に戻ってまた色んな仕事を押し付けられる日々の中、ソラから葉書が届くようになります。落ち葉を丁寧に貼り付けた葉書には拙い字でソラと書いてあるだけで住所もメッセージも書かれていません。優しいが故に独りぼっちの綴が、懐かしい故郷にいるミステリアスなソラに惹き寄せられてゆく静かなファンタジーです。ソラの正体は最後まで明確にはされませんが、言葉通り決して綴を一人にはしないソラの素直な優しさ温かさにモフみがあります。落ち着いた絵柄で淡々と進行してゆくストーリーだけに、どこか獣めいたエロシーンが非常に艶めかしく感じられました。