このレビューはネタバレを含みます▼
短編3作。1作目「ヌードモデル」はシーモアで試し読みでも読めます。2作目「おんなのこ」は、山口先生のTwitterでも読める。3作目の「神屋」は最近の週刊誌で2部読切で掲載されたものです。
「ヌードモデル」はデビュー作とのこと。思春期のうちに秘めた怒りと虚無感と周囲に合わすだけの自分。絵を描くために丸裸をただ真剣に見られるだけの眼に映ることで気づいてしまい、3日でも変化を感じる。美大を目指す夏目の観察眼がいい。「おんなのこ」も思春期の話。女子を馬鹿にしながらも、ある意味で女子になって承認欲求を満たす。秘めた憧れに目を背け、実際に目の当たりにした恐怖とショックで(悪いのはあの大人、犯罪)、女性も生きることが難儀だと気づく。性を本当の意味で考えたのかも。「神屋」は吸血症が出てくるSFで、自己肯定感の低さから必要とされてたい自分を抑圧していた女医がメイン。されど、自分は他者とは違い理性的だと思っているプライドはある。性的なものに魅了され独占欲からコンプレックスを間違った形で解き放つも最悪の形に。ヨハンの最後の笑顔にも彼女が報われなかったことを感じる。内に秘めた思いをどう放つのか。性と生を思い廻らす1冊でした。生き難さと向き合うか向き合わないかということは、ブルーピリオドにも根底に感じるダークな部分かな。