りんご、木から落ちる
」のレビュー

りんご、木から落ちる

犬時/笑平

光から闇まで振り幅広すぎ短編集

2022年8月31日
4CPの短編集です。
1番好きな光BLの表題作。薔薇の似合うキザ過ぎる学園のアイドル・黒川楓がりんごの着ぐるみで倒れているところを普通過ぎる園芸部部長・高見清春に助けられ…という所から始まるノンケ同士のDKCPのお話。ウブ過ぎるが故のすれ違いが可愛い過ぎ。それぞれのキャラのギャップと岡山弁に萌えます笑。

他、心が読めるエスパー先輩と後輩大学生CP、美人オカマバーホステスと彼女に一目惚れしたリーマンCPのお話。

そして極め付けが「下衆BL」に収録されていた「オレは人気者」。幼稚な虐めっ子・鈴木五郎と人の良い虐められっ子・小笠原洋介の逆転DKCP。これは続編「ボクは…」の方が小笠原の闇が更に強く出てて、同級生の『世界は…ずっと素直で優しいものだよ〜』の能天気なセリフとの対比で薄ら寒くなります。それでも、あの五郎の成長も感じられ、サイコな小笠原の心の変化が初恋にまで昇華されている。こういう痛いのは好きでは無いのだけど、何故か後を引き心から離れない作品。
1巻目の描き下ろし「高見君と小笠原君」に立ち返って、正反対の攻め同士の肥料のやり方で何故かほっこり救われます笑。背後に背負ってる植物も意味ありげ。芸が細かい。

どのお話もキャラが立っていて、かなり濃く個性的。ストーリーもどれも良く練られていて素晴らしい。絵もかなり特徴的ですが変にクセになる作家さんです。
一応、妄想も含め汁だくエチシーンあり。
1巻、総198p。続巻、総75p。
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!