とめどなく、シュガー 【電子限定特典付き】
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とめどなく、シュガー 【電子限定特典付き】

児島かつら

なんでそこすっ飛ばした??

ネタバレ
2022年9月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ スピン元は未読でしたが問題なく読めました。過去の恋を引きずる敬太が理一と出会い、新たな恋と共に前を向いて未来へ進もうとする姿は好感持てました。
理一も好きだった敬太と付き合うことで本来の素直な表情を見せるようになってとても可愛い。
途中までは遠距離なりに2人の関係を少しずつ築き上げていきます。
そこから徐々にお互いの人生観や考え方の違いから齟齬が生まれギクシャクしていく。けれど、付き合いたての頃の表面だけの関係から、2人がさらに関係を進展させ、これから先一緒に生きていくためにはどうしたって避けることの出来ない問題。逆に言えば、それだけ2人ともお互いの将来について真剣に向き合っている証拠。

それに自分を偽らずに生きてきた敬太と、ゲイであることを隠して生きてきた理一では、考え方があまりにも遠い。周りの人にゲイであると伝えるハードルだって全く違うだろう。だからこそ敬太は理一に今後のことについて投げかけつつも、相手に寄り添い、不安な気持ちを押し殺して辛抱強く待ちます。が、この辺りからの理一の言動にモヤモヤしっぱなしでした。
自分の中での葛藤や気持ちの整理をつける期間が必要だったのは分かるけど、もう少し理一からも敬太の気持ちに寄り添ってあげてほしかった。あれでは、ただただ理一が利己的なようにしか見えなかったし、敬太を散々待たせておいて、再会後に放った言葉が「オレまだギリ敬太の彼氏?」なの、もっと他に何かあっただろう…と。
あれだけ、2人の考え方の違い、葛藤を描いていたのに実際の周りへのカミングアウトや移住の話は終盤にサラッとしか描かれなかったのも残念。
尻すぼみ、竜頭蛇尾といった印象でした。
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