このレビューはネタバレを含みます▼
最初、表紙の美少女が主人公なのかと思って敬遠してたら、実は男性警察官で死者の脳から残っている視覚情報を再現して未解決事件を解決する、法医第九研究室室長の主人公、薪だったんです。え、この見た目でアラ30?一体何者?と興味津々!名作との噂はかねがね聞いていたので読んでみたら、これが本当に面白かった!期間限定読み放題ありがとう!
最初はMRIで死者の脳から視覚情報を再現することで見える画像に目を見張り、かなりリアルな死体の描写に読み通せるか心配になったのだけれど、全編通してなんらかの愛が描かれていることに気づいてからは、誰から誰に対する愛が描かれているのか、に注目して読むようになり、傷口の描写などは気にならなくなりました。
それにしても、薪は、強くて賢くて度胸もあって、ツンツンしてるのに、内面に自分を許せない部分を抱えていて、ふとした拍子に見せるもろさが実に魅力的。そして、部下から愛されてるなあ、とニンマリしていると、ほんっとにたまーに、薪からもかすかな矢印が?と思える描写が挟まれるのがニクい。
薪は、あの世のあの人と、この世のこの人を重ねたり、狭間で揺れ動いたり。日頃ビシッとしている分、心のうちをさらけ出している姿を見るとホッとする。清水先生の緻密な伏線やストーリー展開も魅力的。でも、それだけではなく、事件に愛がまつわることや、薪の秘密が次第に明かされ、心情も変化していく様子が描かれることで、ストーリーに厚みが生まれて、胸を打たれる作品になっていると思うのです。
この作品が読みホで読めるとは、なんたる僥倖!
BL好きにもおススメのブロマンスものとしても一級品です。そちらの方面を楽しむのなら、前日譚となるseazon 0の1巻を先に読んで〜〜〜、鈴木の想いにズキュンと胸を撃ち抜かれますよ〜〜〜!!!