化け猫かたって候
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化け猫かたって候

早寝電灯

和の雰囲気漂うとても素敵なお話でした

ネタバレ
2022年9月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 人の世に溶け込んで生きる化け猫講談師・喜八兄さん×社畜リーマン・草太の異種間ラブ。悲しい過去を持つ喜八…化け猫となった喜八の「物語」を語ることへのこだわりの根底にあるものは、自分がまだ飼い猫だった頃の幸せな記憶(大好きな子供たちと一緒にじいさまのお話を聞くのが楽しみだった?)にあるなのかなと思いました。その喜八の語る物語を偶然聞いたことで生きることに疲れ果て死にかけていた草太は救われることになるわけですが。そして、ある事情から必要に迫られてふたりで一緒に暮らしていくなかで少しずつ元気を取り戻した草太を「雀」呼びする喜八、可愛くて愛しくてたまらないという気持ちが伝わってきて胸がキュッとなりました。二人の前に横たわる人と妖怪の寿命の差問題、それでもふたりは一緒に生きていく道を選んだけれど、ふたりの恋の行方に憂いを感じてしまいます。長い時を生きてきた喜八が初めて心を動かされた草太にもしも先立たれることになったらと思うと、切ない、辛い。現実の世界は思うようにならないことも多いけれど、物語の結末はハッピーエンドがいい、ということで、桔梗姉さんがくれたお守り(桔梗の花)と作者様の含みのある後書きをよりどころに、ふたりを救う、というよりは読み手の私を救う物語に本編の続きを補完しました。これで今夜、穏やかな気持ちで眠りにつくことができます。エチは、奥ゆかしいエチでこの作品の雰囲気に合っていると思いました。あと、空気を読まない旅館猫の山吹君がいい味出してました。脇役を含めた登場人物・ストーリー・絵、すべて☆5をつけたいと思います。
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