美しくも恐ろしい咲き乱れる花の生命力

ネタバレ

2022年9月15日

このレビューはネタバレを含みます▼ 郵便配達の千陽は､道端に不定期に店を出す花屋のメイくんに会うのを楽しみにしています｡様々な花が季節を問わずに並ぶ理由を尋ねると魔法だと言うメイくんに心を射抜かれた千陽は､ある日メイくんの家に配達に行き､身体から沢山の花を生やすメイくんを見つけます｡｢ヒバナ症｣という遺伝によるらしいその病は､花を摘むか枯らすかしないとメイくんの命を蝕んでゆくといい､それを抑える為に抱いて欲しいとメイくんは千陽に頼むのでした｡メイくんに惚れているものの､優しくてお人好しな千陽は逡巡しますが､苦しむメイくんを見ていられずにコトに及びます｡身内は医師の叔父しかなく独りぼっちで難病を背負うメイくんを側で支え続けようと千陽は心を決めます｡ところがその千陽がぱたりと現れなくなってしまうのでした｡悲しい心に芽吹き､咲き乱れる花は宿主の命を削るという美しくも切ないファンタジー｡温かな愛が悲花を駆逐してゆきます｡

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あーちゃんさん

(女性/40代) 総レビュー数：140件

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