このレビューはネタバレを含みます▼
同じ青井さんの「爪先に光路図」が好きな人にはドンピシャですよね。
特に2話目の「さかなの体温」が好きな人には。
「爪先に光路図」は短編集でしたが、こちらは全編がこの2人の話です。
他の人には見えない、2人だけが見えるようになってしまったモノ。その謎を追う2人。
言えなかった事や伝えたかった事、ずっと抱えていた罪悪感とか戸惑いとか。
片方はずっと覚えていたのに片方は忘れていたり。
そしてストーリーのキモとなるピラルクーの、自分の骨がオパール化するほどの永い時間でも変わらない想いとか。
クラッシックには全く詳しくない私ですが、青井さんの描くストーリーは、ショパンやリストが似合いそうといつも読むたび思ってしまう。
激情的に盛り上がるのでなく、静かに深々と進んでいく感じ。
遠くから見ているだけだったのに思いがけず仲良くなったり、気持ちを抑えきれず手を伸ばしてしまったり、そのせいで避けられたり、「これからも友達」と言われて一瞬言葉を失うシーンとか、攻めの心情にグッとくるものがあります。
とても美しいストーリーでした。
やっぱり青井さんの世界観は唯一無二です。