親愛なるジーンへ 2(特装版)
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親愛なるジーンへ 2(特装版)

吾妻香夜

素晴らしい結末

ネタバレ
2022年9月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ だったと個人的には思いました。
本編より先にレビューを見ていたため、2人の結末について少々複雑な気持ちで読み進めましたが、結果良かったです。
トレヴァーはジーンの世界を狭めたく無い。そのための気持ちの整理をひっそり進めていたのには心がキュッとしました。
対するジーンについて、留学程度でトレヴァーのことをなぜ捨てられたのかという感想も見受けられますが、個人的にこの部分については、トレヴァー同様『相手を縛らない愛』なのではと思いました。世界を見たいと飛び出して行く自分を葛藤の末見送ってくれたトレヴァーに未練を見せることは、失礼にあたるでしょうし。
2巻終盤ではジーン側の感情描写が少ないので憶測の域を出ませんが、ジーンもかなりの覚悟と決意を持って旅立ったのだと思います。
1年後にどうしようもなく会いたくなる時があったとして、でも覚悟を決め旅立った以上何も成せないまま甘えるわけにはいかない。
2年経って、今トレヴァーはどうしているかな。
5年経って、もしかすると他にいい人と結ばれてるかも。幸せでいてくれたらいいな。
10年経って、あなたがどういう人生を選んでいても、いつも幸せを願い続けています、生涯忘れません。
…って心境だったのかもと想像しました。
離れた相手が自分と違う人生を歩んでいるのだと、時間と共に徐々に強く感じてゆくものです。
好きだ愛してるよを隣で伝え合う愛も素敵ですが、ジーンの出自をふまえたこの2人に関しては、そう簡単な話しじゃなかったのでしょう。
現にジーンは自ら棄てたと言った家族や故郷すら、やりきれないほどずっと愛し続けていましたし。
再会後の関係の落とし所がわからないというのも、凄くリアルで個人的には納得できました。
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