君に染まる町の色
」のレビュー

君に染まる町の色

梅田みそ

海、山、駄菓子屋、学校、秘密基地そして君

ネタバレ
2022年9月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 宮森由之は、幼馴染で染色家を志す千羽大樹にひっそりと片想いしています。10年前、田舎の小学校に転校後イジメで孤立していた由之に大樹が声をかけたことから仲良くなった二人も高3となります。彼女持ちの大樹は卒業後、染色家の工房への弟子入りが決まっており、進学する由之は大樹への未練を絶とうとしています。やりたいことがはっきりと決まっていて彼女も大切にする大樹は、ノンケらしい距離感の無さで由之に接して来るので由之は大樹への想いを捨てきれず、でも大樹の将来を思ってわざとキツい言葉を投げるのでした。大樹と由之が初めて言葉を交わした雨の降る放課後、卒業式を前にした雪のホームでの別れ、大樹が初めて染めた浴衣で行く夏祭り、夜空を彩る打ち上げ花火、要所要所に絵になる場面が挟まれて恋が成就してゆきます。大樹が由之にイメージするのは強くて深い青なのですが、それは故郷の空と海の色でもあるのでした。『籠の中の恋の歌』高校の時から付き合う美人な鷺沢先輩と一年下の強くて真っ直ぐな尾崎とのお話。付き合っていても色々と考え過ぎて不安になってしまう鷺沢先輩の乙女っぷりが描かれます。
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