言ノ葉ノ花《コミック版》
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言ノ葉ノ花《コミック版》

三池ろむこ/砂原糖子

隠れた本音に傷ついた心を癒す真っ直ぐな恋

ネタバレ
2022年9月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 家電量販店の派遣社員•余村和明は3年前のクリスマスの朝、突然ひとの心の声が聞こえるようになります。前夜にプロポーズした彼女の本音、同僚の妬み、街を行き交う人々の愚痴や悪意の嵐にノイローゼ状態となり、会社も辞めて2年間引き篭もっていた余村ですが、貯金も尽きた今は敢えて接客の仕事を選び、客の要求を心の声で聞き取り、それなりに順応した生活を送っています。そしてまた巡ってきたクリスマスの日、足を踏み外した余村はかばってくれた同僚の長谷部修一が余村のことを「好きなひと」と心の中で呟くのを聞きます。口数少なく生真面目な長谷部は、余村のかけるちょっとした言葉も心の中で喜び、それを余村は嬉しく思うようになります。知りたくないことを聞かされる苦しさ、他人の感情に振り回される辛さが描かれるのですが、長谷部の心の声が聞こえたことで余村は長谷部に友情以上の気持ちを持つようになります。人が口にしない本音を聞かされ続けて人を信じられなくなった余村に、嘘やお世辞の無い長谷部の真っ直ぐな想いが通じてゆきます。そして「好き」はやっぱり声に出して伝えるべき大切な言葉なのでした。
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