このレビューはネタバレを含みます▼
新コミ初めましての作家さん!
単話で既読でしたが、描き下ろしなど読みたくて購入しました。
試し読みで分かるように、非常に画力があり、細部まで鉛筆書きのような繊細さまで感じられる作家さん。
絵柄と陰影でストーリーの雰囲気を作られる方で、
終始、優しい膜が張っているような、そんな世界観です。
本作は、殺すことができない殺し屋家業の千夏と無垢な盲目の少年佳澄のお互いの闇を2人で光に変えていくというストーリー。
設定上の暗さはあっても、それより、お互いの存在が相手を救っていくところにフォーカスされているので重々しさはありません。
ただ、キャラ背景の(主に千夏)深掘りをしきっていないため、重さはないが深みも感じにくい作りかなと個人的には少し感じました…おそらく意図的に父親との関係修復などの描写がなく終わっているので気にはなりますが、ストーリー上ページ数上、納得はできる範疇です。
とは言え、やはり!
何といっても美しい作画とテーマが素晴らしいッ!
柔らかく丁寧で、大人の絵本のような……♡
●千夏と佳澄の抱えるものが、真逆で描かれているところが憎いなと。
身体的には恵まれていても、見たくないもので溢れている千夏の世界と、盲目で不自由な生活でありながら心はどこまでも強く自由な佳澄の世界。
相手に惹かれていくにつれ、相手の世界に手を伸ばしていく2人が眩しかったですね。
●タイトル回収もお見事で、お互いの夜(闇)に触れることで、あたたかな光を手にしていく……優しい世界が2人を包んでいます。
特に、雨の場面がとても好きでした。
盲目で出歩くことのない佳澄にとって、雨は恵み。色々な音を感じられ、世界が明るくなる瞬間一一一そこに殺し家業を終え、闇から佳澄という光を求めやってきた千夏。
お互いの感情の対比というのが、表情豊かに描かれてあって、思わず魅入ってしまいました。
エチ描写は雰囲気で最後にあります。ガッツリではないですが、ふたりのお互いへの優しさエクセレント!
今回は少し特殊設定のお話で、次はどんな作品かなぁ……
今から楽しみでなりません!