声が響いて優となり【電子単行本(電子限定描き下ろし付)】
衿先はとじ
性と切り離せないHIVを題材にしたBL作品
ネタバレ
このレビューはネタバレを含みます▼
作家さん買い!
知る限り、HIVを題材にしたBLに初めて出会いました。
しかも好きな衿先はとじさんと来れば……
そりゃ、読むでしょう。
非常にセンシティブでどうBLと絡ますのか難しい、もう想像するだけで難しいのですが、よくぞ取り上げて下さったなぁ…作家さんや出版社さんの心意気を感じられます。
(残念ながら、直接的なエチ描写はなし)
モロにBLに絡ますには生々し過ぎるだろうし、客観的事実はしっかりと伝えつつ、HIV陽性者の方が誤解や偏見を持たれやすく、そのことで他者との関係を積極的に持てず孤独になりがちな現実が描かれています。
性教育で習った当時の知識しか自分が持ち合わせておらず、
恥ずかしながら、私もHIV感染について知らなかったことがありました。
HIV感染≠AIDS、ということは広く知られていますが、
めざましく進んだ現代医療では抗HIV薬の治療によりウイルスを抑えているHIV陽性者からは、効果的な治療を受けていればセ/ックスによって他者へHIV感染することがないと世界的に認められているそうです。
この重いテーマではあるのですが、中身はいつものはとじさん!
全く重苦しさなどはなく、終始ホッコリ2人の掛け合いがやはり面白いです。
出逢ったことでお互いが相手の存在に支えられ、自分の人生を前向きに生きるお話。声優新人の音瀬と、今は第一線を退いたかつての人気声優の酒井。
BL作品のドラマCDの受に抜擢されたことでトレーニング講師の酒井と出逢います。
それが、はとじさんの作品←理想と上司&君の手が……ww
2人の心の機微をゆったりと描いているのですが、
本作190頁あるとは思えないほど、体感で言うとアッと言う間に読み終えます。
エチ描写はないですが、しっかりと声優としての2人、恋愛をしていく2人が堪能出来ました。
音瀬の《無垢な暴走》に救われていく酒井、良かったです。
酒井を支える同僚たちもナイスキャラでじーーんとしました。
サラリと、でもしっかりとHIVをテーマに、
はとじBL作品に仕上げており、お見事です♡
ただ、もう少し、そしてもっと堪能したい気持ちが残ります。
やはり、過去編は読みたいですね。エチ描写は敢えてなかったのだと思うのですが、なくて良かったのかもしれません。
なかなか難しいことなのかもですが、今後このテーマのBL作品が増えていかないかなぁ…
色々な方の作品で是非、読んでみたいなと思います。