異世界でカフェを開店しました。
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異世界でカフェを開店しました。

野口芽衣/甘沢林檎

深く考えず非現実的世界を楽しみたい方向け

ネタバレ
2022年10月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 良くも悪くもあっさりした設定なので、主人公が称賛されていくサクセスストーリーを小難しさなく楽しみたい方には合っていると思います。

一方で、設定に重厚さや合理性を求める方にはオススメしにくいですね。
逆恨みで嫌がらせをした人物があっさり従順な従業員になったり、誇り高い王宮の料理人が目の敵にしていた主人公を満場一致ですんなり受け入れたり、心理描写は雑です。「魔術」も矛盾を多少抑えるためにつけられただけの感があったり、ジークが騎士であった設定はなんのために存在していたのか疑問に感じられたり、設定に深みはないです。
そこが小難しさも不快感もなく読めるという良さにはなりますが、このあたりの「軽さ」は人を選ぶでしょう。

また、いくらメシマズ食文化とはいえ、素材は揃っていて他文明はそこそこ発展しているあの世界観で食文化だけ絶望的に遅延している点は途中からさすがに看過できなくなります。そもそも油で魚ベチャベチャに焼き上げる王宮料理長などは、食文化云々以前にただ料理が下手なだけでは?
主人公がただのOLという設定の割には、現実世界の情報検索なしに酵母菌を作ったり豆腐をイチから作ったりと、スペックが高すぎるのも‥。
それならいっそのこと現実世界のパティシエや料理人の卵が異世界転生したという設定で良かった気がします。

この手の作品は長期連載になればなるほどマンネリ化しやすい作品とも言えます。
旬なうちにどう綺麗にしあげるのか、あるいはここから意外な展開に持ち込んで面白く仕上げてくるのか。
作者様の手腕に期待したいところです。


7巻まで読みましたが、私は結構好きです。
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