【単行本版】オメガ・シンドローム
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【単行本版】オメガ・シンドローム

小箱あき

Ωってどうやって生まれたの?

ネタバレ
2022年10月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ オメガバースなのに一般人はその存在を知らない、どころか極小の人しか知らない世界のお話です。
Ω自身の男性ですら妊娠してしまうなど信じられないところから始まります。
フェロモン・ヒート・男性との性 行為・妊娠・出産・子育てまで事件を交えながらオメガであるとはどういうことなのかが細かく描かれています。
しかしそれだけなら高評価には繋がらなかったと思います。
素晴らしいのはオメガという性別がなぜ誕生したのか?主人公は男Ωとしての人類初の出産を果たすのですが、それを周りの人や世界はどう対応するのか?まで描かれているところだと思います。
4巻完結でそこまで描き切っているので少し足早な展開なのですが、良いところでフラグが立ち期待通りに話が転がっていくので爽快感の方が勝りました。

また今まで散々オメガバースを読んでいた身としては物語中のキャラ達が知り得ない情報をこっちが既に持っているというアドバンテージで一風変わった感覚を得ながら読んでいました。

読みながら男性が妊娠可能な世界観をこの世に生み出したのは腐女子なのかゲイなのか?という予てからちょくちょく考えていた疑問がずっと思考の前面に居続けていました。
もしゲイのかただとしたら切ないな〜と思ってしまうのです。
今作の中にもゲイのドクターが登場します。大変有能な上に主カップルを優しさを持って支え助け続けてくれます。ついつい彼の気持ちを慮ってしまいまた勝手に切なくなっていました。(彼視点のお話が番外編で読めます。コミカルで楽しく読めてちょっと救われました。)

けっこうハードな境遇のうえ次々に色々と巻き込まれてしまう主人たちですが、努力して幸せを掴む読後感良好な作品でした。

番外編の他に別CPのスピンオフが完結で発刊されています。
また子供たちが主となったスピンオフが単話にて現在3話まで出ています。
オメガバースとしての世界が少しずつ進んでいるのも読みどころなので続きがとても楽しみです。
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