フリップ・フリップ・スローリー
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フリップ・フリップ・スローリー

オオタコマメ

静かな高まり

2022年10月16日
いいね。エチシーンはほとんどない(これからしようってとこだけ)のに、終始八月一日の色気と萩原の視線にやられる。「ずるい大人」と言いつつ、若さの押しと静かな熱をもって大人なのは萩原だった。環境って大事だなぁと、つくづく思う。2人の対象的な父親、母親。あの両親だから八月一日は拗れた、あの両親だったから萩原は思いやりある人に育ったように感じる。セッ ク スができなかったショックも、父親に拒絶された動揺も先輩の嫌がらせも、全部16歳には受け止められない。その傷は癒やされていなければ、例え「大人」になろうが消えていない。それを、時間をかけて、ゆっくり、優しく且つ真摯に寄り添った若い萩原。氷が溶けた思いではないだろうか。峠を越えて海が見えたような爽快感は比喩だったような。
本筋じゃないけれど…非常勤講師に個室研究室を与える大学は幾ら地方と雖もそうそうないですよ(笑)普通は教員控室。または、助手などの共同研究室。個人には個別ロッカーくらい。それに、非常勤から一気に准教授の声がかかるなんて…前任が准教授だったのかな。優秀すぎですゾ(笑)あと、男性の図書館司書(補佐)も割と珍しい。まぁ、この場合、正規職員っぽくて町の図書館だから公務員ではあるけれど。それはよいとして(笑)、話はとても素敵で、以後の関係が想像できて嬉しくなる。
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