ジェラシー[コミックス版]
」のレビュー

ジェラシー[コミックス版]

スカーレット・ベリ子

『でも愛してあげる』

ネタバレ
2022年10月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 5巻まで一気読みしました。長かったー!
『4代目〜』から3年後の櫓木と麗華ちゃん。
その現在を交えつつ、27年前に明虎と櫓木が出会ってから、が描かれています。

とにかくあちこちでジェラシーが渦巻いて絡まって。
麻巳は櫓木に、浅生田も櫓木に、松見は明虎に。
そして櫓木は、麻巳はじめ明虎の家族にしてもらえた者たちに。
明虎は卯一を所有しようとする者たちに。

卯一、『四代目〜』では許せない奴だったし、若かりし卯一も、散々皆を引っ掻き回す形になって、全く理解できない奴。
だけど、たった1人が加わったことで、これほど周りに影響を与えるってすごい。
明虎への気持ちは確かで執着に近かったから、傷つきまくって、最後やっと自分を客観的に見て愕然とするところや、決断するところは気の毒で可哀想になってしまった。

一方共感できるのは、浅生田や麻巳、松見。
これまで築いてきたものも愛する人も、あっさり目の前で掻っ攫われたら…
怒りを伴った嫉妬はもちろん、嫉妬する自分への苛立ち、守りたい矜恃、絶対に敵わない、という畏怖もある。理解も共感もできないけど憎みきれない。
それらの気持ちとどう折り合いつけるのか、のそれぞれが描かれた作品だと思います。

明虎と卯一は全然タイプは違うけど、本能とか魂の部分で共感できる存在だったんだろうな。
誰に主点を持ってくるかで、ラストもハピエンと取れるかどうかで、評価が変わってくる気がします。
27年という月日だからこそ、と思いたい。
いろいろ考えさせられる作品。
1つ確かなのは、出てくる女性(麗華も麻巳も)が大人だってこと、ですね。
いいねしたユーザ11人
レビューをシェアしよう!