このレビューはネタバレを含みます▼
高校生時代は文句なく面白かったです。高校生モノにありがちなワチャワチャした感じではなく、2人が誤解し合いながら手探りで少しずつ距離を縮め、お互いの気持ちを確かめ合っていく過程が丁寧に描かれ、どちらかというと静的で落ち着いた絵柄にあいまって、惹きこまれました。大学に入っても、家庭教師のトラブルでチカが教え子に対峙したシーンでは、日頃あまり内心を口にしないチカの夏生に対する強い思いや、2人の間に無理矢理入り込もうとする者への容赦ない姿勢が強い印象を残しました。でも大学入学後は人間関係が広まったり、夏生の留学もあったりして、登場人物や舞台が広がりすぎたり、主人公2人の人物造形も最初と少し違ってきたり(特にチカ)、全体的に散漫で求心力に欠ける印象になってきた気がします。人気作品なので続刊希望も多いのかもしれませんが、あまり話を引き伸ばさずキリの良い所で終わらせた方が、結果的に内容は引き締まり、作品としての評価も高まるのではないかと思いました。上から目線な物言いでごめんなさい。