いっそ声がなかったら【電子限定かきおろし付】
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いっそ声がなかったら【電子限定かきおろし付】

猿和香ちみ

水の中で呼吸する

2022年11月5日
吃音についてはTVのドキュメンタリーで見たくらいの知識しかなくて、ご本人がどんな気持ちなのかはなかなか分かりにくかったけど、この作品を読んで少し理解ができた気がします(人によっても違うでしょうから)。そりゃ苦しいよなぁ、でもるり君が自己評価は低いけどひねくれず育ったのは親御さんの愛があったからかな。
一方の高科さんは気持ちを伝える手段も能力もあるけど、効率第一というか、別に仕事に支障ないでしょ、人付き合いは無駄だとばかり無愛想に生きてきたけど、心の奥底ではそれに居心地の悪さを感じてたのでは。だから、似ているようで正反対の心を持つるり君に惹かれたんでしょう。
重いテーマだけど、それをうまく軽やかに恋愛と絡めて、日本ではまだまだ理解の浅い吃音について、まず「知ってもらう」というという点に関してこの作品はとても貢献してると思います。あと、読むと、感謝の気持ちは「すみません」でなく「ありがとう」ときちんと伝えたくなりますね。優しい気持ちになりたいときに読み返したいです。
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