今日に還る
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今日に還る

加東セツコ

日本昔話感のある、じわっと幸せな話

ネタバレ
2022年11月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 179ページ。
お人好しの青年が幸せになる話。ちょっと不思議な、日本昔話感があります。母の急死で田舎に帰った主人公、親戚に紛れて、自分の記憶にはないソラという従兄弟がそこにいる。ソラの正体は、明確な言葉としては出てきませんが、最初からちゃんとわかるように描かれていたのが良かったです。はっきりと言葉にしてしまったら居なくなってしまうかもしれない、そんな不安も漂っているような気がします。鶴女房も狐女房も、正体がバレたら一緒に居られなくなるのがお約束なので。
ただ、この不思議な感じのまま終わらせるならば、単行本丸1冊は長かった。半分くらいでまとまっていた方が好みです。
この設定ならばもう少し鮮烈さも欲しかったですが、この作者さんのじわっと静かな雰囲気は独特で好きです。
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