CANIS-THE SPEAKER- 【特典付き】
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CANIS-THE SPEAKER- 【特典付き】

ZAKK

経済世界を相手取った頭脳戦と命のやり取り

ネタバレ
2022年11月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読後の率直な感想はお見事!!という他ありません。
「Mr.Rain」「Hatter」と地続きの世界でキャラも被っているのに全く異なったダークでシリアスな景色を堪能しました。

導入部は主人公3人の子ども時代の閉じた世界での衝撃的な出来事でグングン物語に引き込まれました。
しかし大人になった彼らが身を置くのは世の中を動かす複雑な経済の世界です。表舞台と裏組織、頭脳戦と命のやり取りで縦横無尽に駆け抜けます。(しかもめちゃくちゃイイ男になって!)
なのでストーリーも複雑になるので一コマでも1文字でも見逃すと大量の伏線に気づけずお話の面白さがグンと激減してしまいます。(私はカタカナ名が苦手なので苦戦しました汗)

実際にあった世界規模の金融危機を背景に●ールドマン・サック●を彷彿させる巨大な金の流れ。PEファンドでもしかしたら有るかもしれないゾワゾワが背中を駆け抜けました。
中でも教育支援プログラムを光と闇に分け、闇を探り討たんとするのがサイコーに痺れました!
時系列は前後しますが大抵は仕掛けた事案の流れと結末を先に持ってきて種明かしは後から描かれています。(過去話はコマ割り部分が黒くなっています。)
事件は解りやすくは描かれていないので、なんだなんだ?一体何が起きたんだ〜!?と混乱するも直後の種明かしでストレスが一気に解消!気持ちイイ〜!って何度も体験しました。
3人ともどんどん高い地位に登っていくので途中からは広げ過ぎた風呂敷をどう畳むんだろう?とめちゃワクワクしながら読みました。
そして終盤のメアリー・ロスとの対峙です。
このシーンは本当に本当に胸が詰まりました。シスター・メアリーの震える右手で、これまで見てきたはずの彼女の立場と思いが一瞬で塗り替えられました。どれだけノブを抱きしめたかったことか。でも自分にその資格は無いのも解っている。その境遇に囚われてきた長い年月。それこそ3人よりももっともっと長い長い…。たった一コマで転換する凄まじい表現力だと思いました。
………
ブラックマーケットで扱うのは人、ビットコイン、そして情報へと、今世紀で激変した経済の流れを裏社会から解りやすく踏まえたお話作り。今その渦中の人物となっている阿左美と中元サンのお話が読みた〜い!ってメチャなっています。

修正は見えない構図。3P有りですがとても神聖な気持ちになるタイミングと描写でした。
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