このレビューはネタバレを含みます▼
新刊の発売もあり、最近フォロー様方のレビューでよく見かける作者様。初読みです。
母が亡くなり、優秀な兄(航)の事ばかりを大切にする父親から見放され、離れで世話役の南雲と暮らしてきた巴。
唯一の家族のように暮らしてきたふたりが惹かれるのは、とても自然な事ですよね。小さい頃から心の支えにしてきた気持ち、お互いを想う気持ち、涙が溢れます。離れちゃいけないふたりです。
そして、お兄さんの事をとても考えてしまいました。巴は辛い思いをたくさんしてきたと思います。けれど南雲と一緒にいる時はあたたかくもあったと思うんです。
航にそんな場所はあったのかな。。愛情をもらう為に、父親の理想になれるよう必死で頑張ってきたのだと思います。巴に対する優越感で寂しさを紛らわしたのかもしれない。南雲がいる事を羨ましくも思ったのかもしれない。
間違っていたのかもしれないとでも言いたい父に...跡取りとして全てを受け入れ、父親の弱さをも受け入れ、そんな事は思いませんよと。お墓の前で静かに話す航の胸中を思うと苦しくなりました。
父親も家を継ぐ為にそんな育てられ方をしたのかもしれない。それをもお兄さんは思っての言葉なのかも知れない。あぁ、想像がとまりません。。。
**スズランの花言葉、素敵でした。