ピットスポルム 合冊版
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ピットスポルム 合冊版

三上志乃

不憫イケメンが本気の恋をしたら……

ネタバレ
2022年11月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ この作家さん、本作が初読みです。
割引していたデビュー作、0パーセントの花束も読みました。
とても良かったです。寂しさを表現なさるのが上手な方なのかな…と勝手に。絵柄の線の繊細さが好みですし、寂しさが温かさに変わる、そんな淡々としっとりとした作品で非常に好みでした。

さて、本作は……
地雷の方には理解し難いのかもしれない内容(女子と致しまくる)が一部含まれた、攻の内面が主軸となる作品です。
この小田島苑という…不憫?イケメンが、私は好きだww
こんなに健気で必死で痛々しい子、愛おしすぎるッ!!
矢野に対する気持ちが、本気すぎて、重すぎて、いいじゃないッ!!
最高です……♡
冷たいような目に、長め睫毛も良き!

一読したときは、苑の魅力のみを拾い、作品全体としての評価にまで至らなかったんです。苑の気持ちは痛いほど分かるけど、矢野サイドが弱いような…?とも思っていたんですが何回か読み直すうちに、矢野が苑に惹かれてしまった描写もすんなり自分の中で馴染んできました。それを上手くレビュー出来はしないんですけれどw

ゲイである自分とその事で母親に負い目を感じてしまうため、逃げるようにして入った全寮制の高校で、まさかの想い人の矢野と同室になってしまう……
好きだからこそ近づいてはいけない、奪いたいめちゃくちゃにしたい、汚してはいけない、触れたい、離したくない、矢野だけがほしい、他はいらない。
あゝああああぁぁぁぁぁ〜〜〜
想いと欲求が強すぎるが故に、自分の中でだけで燻り続けるしんどさ。自分の中でだけで終わらせるつもりで距離を取る苑。
うううー最高だ。攻の重くて一途な気持ちって、読んでいて何でこんな刺さるの一一一?
矢野に惹かれる苑の気持ちが痛いほど伝わる作品です。
彼が彼らしく生き、その想いが報われて本当に良かったと思える。
本気で人を好きになるって、素晴らしい……!
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