少年の境界
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少年の境界

akabeko

オメガバースにリアルに向き合った作品。

2022年11月15日
4人が自分の性に迷い、時に絶望し、前へ進んでいくお話。まだ幼さが残る学生時代の性別検査でΩだと判定されたゆか、仲間でつるんでいたαの大我、ずっとゆかが好きだった幼なじみの薫。そして倫。それぞれの想いがとても切なく、見てて苦しくなるほどでしたが、ここまでオメガバースの深いところに真っ直ぐ向き合った作品は初めてだと思います。薫×ゆか、大我×倫、信じるのは本能か、自分の心か。読み返せば読み返すほど凄い作品だなと。特に心と体が未発達の少年時代の苦しさはリアルでした。倫の抑制剤の副作用も、本当にリアルにありそうで切なかったです。あの日、運命を自ら取りこぼしてしまった大我と自分の心を信じた薫が対照的で読んでてとても面白かったです。ひたすらにゆかを大切に想い、誰よりも自分の心と本能と向き合っていた薫がとても素敵でした。「少年の境界」というタイトル、素晴らしかったです。
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