恋が僕等を許す範囲
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恋が僕等を許す範囲

本仁戻

エゴがいっぱいつまってて元気いっぱい

ネタバレ
2022年11月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 愛って何?とか本気で思ってた、迷える青少年だったころに夢中で読んだ。男二人が好きあってるんだけど、二人ともそれとは別に愛してる彼女もいて、さらにその彼女たちは男二人の関係を認めているっていう設定に頭がつんとやられてはまりにはまった。90年代の私にとっては非常に新鮮な設定だった。久しぶりにBLの世界にまい戻ったときに懐かしくてたまらなくてどうしてもまた読みたくて買ってしまった。セリフとか絵柄とかに平成臭さはただよっているけれども、今読んでもおもしろいし、絵がめちゃめちゃうまい。体の構図もきれいだし、生き生きとしててすきがなくうまい絵。ギャグっぽくデフォルメされた絵もすごくいい。女性たちもきちんと美しく描かれてて安心して見ていられる。男女四人で愛がどうの恋がどうのをずっと言い合ってる話なので、どろどろの泥沼な話なのに、どこか軽快。シリアスなシーンもいっぱいあるんだけれど、ふっと笑えるセリフとか言い回しもたくさん盛り込まれているおかげでなんか楽しい。とはいえ愛とか恋とかをほんとにずっとうだうだ言っているので、読むのに体力がいる。体力のあった10代のときにこの本に出会えたのは非常にいいタイミングだったかも。あれから何十年たって今この作品を読むと、愛がどうとか言ってる部分に納得したりできなかったり、この画風で登場人物たちが真剣にぶつかりあってるのを見ると微妙なこっぱずかしさも感じる。恋愛が生活の中心な人たちの、エゴいっぱい元気いっぱいのお話。いろんな意味で元気な時に読むのがおすすめ。
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