このレビューはネタバレを含みます▼
マキャヴェッリ著『君主論』で理想的な君主と評されたチェーザレ・ボルジアの華麗なる半生にオカルト的な要素をプラスした作品。
枢機卿である父・ロドリゴは自らの野望『教皇の座』を得るためにその見返りとして、間もなく誕生しようとする我が息子・チェーザレを生贄に捧げる契約を魔物と交わします。(手塚治虫の“どろろ”を思い出しました😃)
美しく聡明に成長していくチェーザレ。
しかし父の裏切りを知り、我が身に巣くう魔物に心まで支配されつつある己自身を呪います。
彼にとって唯一の救いであるキアロ(ミケロット)の存在により、かろうじて人間の心を保つチェーザレの姿はとても痛々しくて切ないです。
一方、冷酷で残忍な顔を併せ持ち美しく妖艶なチェーザレに、出会う人々は畏怖の念を抱きながらも魅せられてしまいます。
オリジナリティ溢れる解釈で描かれた悪魔的チェーザレ・ボルジアと、史実に伝わる彼の人物像が違和感なく融合しています。
政治的背景もしっかり描かれていて面白いです。
ただ、内容が濃く長編なのでラストをもっと掘り下げて描いてほしかったです。
(それまでが激動の連続なので、その反動によるギャップのせいか意外に呆気なく感じた…😃)
あと、今更ですがこの手の絵柄は個人的に苦手です😁