ブレない思想と作風に驚いたすごい作品





2022年11月28日
今は亡き佐伯さんの他の作品を読んで、こちらも読みました。前から無料部分だけで面白そうだなと思ってましたが、全部読んだらすごいです。佐伯さんの「不思議な力」や「過去と未来」などのこだわりはブレませんね。そこに社会的・世界的問題も盛り込まれたのがこの作品。高校の1学期の終業式の日の同じ3時間を、学校内の全員が繰り返す、タイムループ物ですが、そこに気づく者と気づかない者がいる。なぜタイムループしているのか?毎日数人が校内からいなくなるが、いなくなるのには理由がある。目を凝らすとわかる校内の変化にも理由がある。その理由は分かったのに、なぜ自分たちはここにいるのかと、ただただ校内に取り残されていく主人公たちは、最後の一人になったらどうしようと迷ったり、悩んだりしながら、寝食もせずに永遠に時間の中で茶番劇を演じている気持ちになる。最後の一人は誰になるのか?何が原因だったのか?そう読者にいろいろ悲劇的な事を思わせておいて、じつは想像を超えるすごい運命的な現実がラストに訪れる。「これで本当に私の1学期が終わった…」ここで号泣してしまった。個人的にガングロギャルの花チンの存在が大きいと思う。花チンがいなかったら面白さが半減するかもしれない作品。ヒロイン・小峰ちゃんがふた昔前の少女漫画らしいなあという見た目とキャラですが、だから学園コメディらしさがあり、読みやすかったのかもしれない。こういう漫画が今あるのでしょうか?真剣に未来を考えさせられる作品。一読して損はない話だと思います。

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korokoo さん
(女性/50代) 総レビュー数:19件